秋の夕暮れ、水溜まりはおおよそ零度

子供の頃から私は高い場所が好きだった。
家の中なら、
天井に散らばした星に手が届くロフトベッド、
に、寝ていれば、
リビングの、
話し声が遠くなるから。

床に布団を敷いて寝ると、
柱も梁も床も、

そのものが、
私を揺さぶり起こし、告げ口する。

だいたいは、
金とか仕事とか、天気とかカネとか、
旅行のこととか、親戚のこととか、
犬のこととか、昔のこととか、
コドモ ノ コト トカ、

話していたんだと思う。多分。

無視、できれば良いけれど
、ねー。
壁が、さ、
許してくれないこともあるじゃない?

そんな時に注意するのはテンポとボリューム。

それから、暴力の音 が、
理性
、が、あるか、ないか。

それだけ。

じっ  と、
耳、を、すます、
必要が

あるなら二度寝しても良いってこと。ね?
きっと夫婦二人、並んでテレビを見たり、
同じタイミングでコーヒーを啜ったり、
談笑、したり、し、て、
穏やかな時間が流れているんだ。多分。

逆に、
何かが割れたり、ぶつかったり、
する、音が聞こえる時に寝ているのは不自然
だと思ったから何も知らないお子ちゃまみたいに、
お母さんの 盾 に、
なった こと も、ある。けど、
お父さんはドラマに出ているチンピラと同じ台詞を、
あんまり、言わなくなった。けど、
皆からバカにされて、
利用されて、
排除され、る、
お父さんは、
本当に、

カワイソウ(笑)

純粋で正直過ぎるから、
お母さんのどうでもいい嘘にも引っ掛かっちゃうの。
本当に、
カワイソウ、
な、
オトナ タチ。

クスクス。笑っちゃダメだよ。
家族をしていくには、
ね、
どうせなら泣いた方が良いんだ。

想像して。
お母さんが死ぬところ、
お父さんが死ぬところ、
泣ける?
自分が死ぬところなら?
どう?

私は、
頭と心臓が、
死んだように冷たくなって、
次の一手が、
自分をどう動かすべきか、が、
勝手に、
どんどこ計算されていくのを感じていたけれど、

会話の途切れたリビングの、
正しい気温が読めないから階段を見下ろす私の足元は秋の夕暮れ。

真っ黒な水溜まりを踏む時のように、つま先へ
五感の全てを集中、させ、る
、べきだと思ったから、そうした。
だけ、

だったんだけど。こうして振り返ると、
幼児の不運な事故を装える頃に一度、
頭から転げ落ちるべきだったんじゃないか、
って
後悔するんだ。


自由詩 秋の夕暮れ、水溜まりはおおよそ零度 Copyright  2019-03-20 16:41:39
notebook Home 戻る  過去 未来