さみだれの祈り
立見春香

私が歩くとできた道を
君があとからついて来る

しばらく歩くと私は振り返り
大正デモクラシーみたいな
ロマンチックな夢を
ふたりのあいだになら
見ることもできるみたい

そっとやさしい微笑みで
見てくれている潤んだ瞳
思わずサッとキスをして
ごめんと謝り怒らせた

『抱きしめてくれたら嬉しいです』

空が祝福している青さで
聞こえもしない心の声を聞かせてくれる
それって妄想?
わからないからじっと目を見て迷うんだ
私だけ好きすぎて
いつかすごく囚われた
罪びとになったみたい

そして手を取り合って歩きはじめた
君のささやき声
服の触れ合う音
キスしたくなる唇
なにを我慢すれば幸せになれるのだろうか

瞳の奥に見える
私の顔が驚いている
いちばん喜んでいると思っていた
今なんだけど
思わず目をそらして
自分の心の中を覗き込み
その暗闇の冷たさに
慰めることもできずただ
ただただ抱きしめてほしかった

その声は
私の心の中で
私が呟いた言葉だったんだ


いつかまた幸せを語るなら
今日のこの瞬間をいつまでも忘れないで
いつか一緒にひとつになろうよ
たったひとつの叶えたい祈りの真実が
これにつきるロマンのさみだれというのなら







自由詩 さみだれの祈り Copyright 立見春香 2019-02-23 03:00:41
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