冬の螢
帆場蔵人

螢をみたという、この真冬の夜空に
子どもたちは螢をみたというのだ

あれはオリオンではないか
しかし、子どもたちは紛れもなく
螢をみたというから、螢がいたのだ

まだ草笛を好んで吹いていたころ
わたしにも冬の螢がみえていたのか

まだ縛られない魂たちよ
この瞳を覗くな、この声を聴くな
オリオンではない、螢はいるのだ

笛声に喘ぐ夜の底で
無窮の宇宙をみつめるなら
冬の螢が明滅している



自由詩 冬の螢 Copyright 帆場蔵人 2019-02-08 19:38:09
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