ミナト 螢

セーラー服の第2ボタンの下
見えない手形が押されたあの日

腐った果実と一緒に捨てた
体の行方が心とはぐれて
ダスターシュートの入り口で死んだ

触れることも触れられることも
許せなくなる自分に生まれ変わってから
幾つもの愛を割って来たんだ

みんなは美味しい桃をかじって
甘いヨダレを垂らすのが好きだ

追いつけなかった青春の終わり
止まってしまった成長の振り子

自分を殴るような気持ちでいる
強がりのせいで隣はガラ空き

私だけが棘みたいに立って
桃の皮を剥いていかれるんだ

痛くなかったと言わせてくれる
優しい気持ちをいつか知りたい


自由詩Copyright ミナト 螢 2019-02-02 13:30:07
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