ミカヅキ
秋葉竹

血液ハ、作レナイモノナノデス
人ノ血ハ人ノ手デハ、作レナイモノナノデス

めまいのする空を
ミカヅキの匂いのする方向へ
光の視線が突き進むなら
かまわないけれど幻想は死に絶えるのです

血液ハ、作レナイモノナノデス
乾イタ女ハ、化粧ニスガルモノナノデス

忘れ去られた脳髄の七色が
虹に遮られた宇宙の野辺に煌めくとき
ふたつには分かてない想い出があるなら
そのスクリーンは浪漫的でさえあるのです

血液ハ、作レナイモノナノデス
デスガ、綺麗ニ、コシタコトハナイノデス

からっぽの脳の死角は虚ろな声で
絶対感動を練習する詩人の海馬なのでしょうか
胸へ掬い上げられない過去の歓びの音色に似た
その声の螺旋の力は削り取られた真実の海の中、

デサエ、
血液ハ、作レナイモノナノデス
楽シソウニイキルノハ、忘レラレル人ダケナノデス

うなされて悪夢から目覚めた女の立ち位置を
喪女扱いされたりしたら耐えられないのです
よく似て知らなければならない純正の
綻び始めたシナプスの断った白昼夢のまどろみの中、

デサエ、
血液ハ、作レナイモノナノデス
だめナンデス
《コノ女ノ血》モマタ、ミカヅキノヨウ、
ニドト作レナイモノナノデス

不思議不思議ナモノナノデス







自由詩 ミカヅキ Copyright 秋葉竹 2019-01-22 00:56:14
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