神秘の白鳥
藤鈴呼


カモメの漂う水面の色が綺麗で
見とれていた

歯を食いしばっても食いしばっても
喰い尽くすことの出来ぬ秋の落葉に飽き飽きして

踏み締めたのは
厚く塗られたアスファルト

塗り絵のように 
カラフルではない

何処までも 何時までも続くかと思われた雪も
たった今 溶けた

厚いタイヤに阻まれて
熱い吐息に晒されたならば良かったのに

見上げると十字を切る白鳥
ちょっとランダムな髪の毛が見える

空の向こうに飛び立てぬのだからと諦めたふう
この世は何処までだって えげつなく回り続ける

吹き抜けるような丸い穴の向こうに
青い空が広がっていて

それを当たり前に感じていた過去と言う名の夏が
ゆっくりと過ぎ去って行った

気付けば世の中はヴァレンタイン風味に彩られ
街でも店にもチョコレート臭が囁く

耳をくすぐる声は何時までも甘く
とろけるような革張りのソファーは柔らかかった

先に翔る翼は 明日が嵐だと知っていたのか
後に続く嘴は 文句も言えず着いて行くのか

ただそれだけを知りたくて
痛む首を 身体全体で持ち上げて
何時までも 見つめてみた

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自由詩 神秘の白鳥 Copyright 藤鈴呼 2018-10-13 10:27:08
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