小人と神様
竜門勇気


祭りの夜
腐った闇を踏みながら
タバコに火をつけて
三つ目の家に入ろう

小人は擦り傷で白けた水を飲む
神様は靴底に張り付いたガムを食べる
ラララララ・ララ
叫び声でいっぱいの耳
誰かが喋り始めるまで黙ってよう

泣き言を洗う
不注意で割ってしまうまで
ずっとずっと
指がなくなるまで奇跡を待ってる

一人の旅人が
二人になりそう
二階の窓から覗いてた
星の古酒です
末尾は00
最初の話をしようね
最後までずっと
一人の旅人が
二人になったのを
みたよ
僕が証人だ

泣き言が笑う
喜びが泣いてるなんて
思いもよらなかったって風で
みんなが見てる夜
祭りで賑わう街
うごめく不吉に見える
けど
一人の旅人がふらり
壊れた懐中時計になるのを見た

小人わらう
神様はうたう
ゆらめく不吉は永遠
あと少しで止まるゼンマイ仕掛けで
壁からにじむウィスキーを舐めている

こいつらの
見た夢に付き合っているんだ
こいつらの
見たい夢に仕えてるんだ
まるで匂いのない酒に酔って

タバコの煙に紛れて
言葉がきこえる
小人の白い憂鬱
神様の甘い窮屈
もっと白い場所をよく見ろ!
逃げ場所は逃げてから探す
白い憂鬱
甘い窮屈
小人と神様
うんざりするチーズと得体の知れない茶けた酒
白い憂鬱 甘い窮屈
三つ目の家も
僕を追い払う


自由詩 小人と神様 Copyright 竜門勇気 2018-09-22 12:47:44
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