自然とは
st

はげしい地震のあと
まるでなにもなかったかのように
がれきの上にひろがる青空

すさまじい台風のあと
まるでなにもなかったかのように
倒壊した建物の上にひろがる青空

自然とは
なんでこんなにも残酷なのだろう

わずかな時間で
なにもかもなくしてしまう

命さえも

豪雨で氾濫したあと
まるでなにもなかったかのように
沈んだ街のなかをゆるやかに流れる河

おそろしい津波のあと
まるでなにもなかったかのように
消え去った街の前にひろがるおだやかな海

自然とは
なんでこんなにも残酷なのだろう

青空がむなしい

おだやかな海が憎い

美しい山々も河もいらない


ただただ人間の無力を想う


人間の造ったもの

電気 水道 ガス 道路 ーーーーー

すべてが破壊され 

突然に

原始の時代へと 放り込まれる


家にあるほとんどのものが
機能しない邪魔で無用なものとなる

ろうそくのありかを思い出し
そのありがたさを知る

今はもう
 
このろうそくの光だけが

たよりだ



自由詩 自然とは Copyright st 2018-09-18 13:50:20
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