生き恥

わたしが母の腹を裂かせた日、
見せかけの無垢を盾に、
わたしはきたなく、ぎゃあと鳴いた。
山の小さなカラスが顔をしかめるほどの声を、
恥ずかしげもなく、盛大にあげたのだ。


ぎゃあ、ぎゃあ、と、
きたなく鳴くのは誰だろか。

そう思っていた頃がわたしにもあった。

ぎゃあ、ぎゃあ、と、
確かめながら鳴いたのはいつだったか。


ともかく、
わたしは恥ずかしくなったのだが、
しかし、黙っていることもできずに、
ときどき、小さく、ぎゃあと鳴く。

今尚、恥ずかしげもなく、ぎゃあぎゃあと鳴く彼らを、
嘆いたわたしも、ぎゃあとしか鳴けぬので、
隠れて小さく、ぎゃあと鳴く。

つもり、つもりに、ぎゃあと鳴く。


自由詩 生き恥 Copyright  2018-09-09 13:15:29
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