透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま
田中修子

 もとは華美だったとわかるうつくしい布切れを纏い、にぶく輝く金の鎖をつけた骸骨が、足を引きずりながら、ま白い日の照りつける、荒涼とした砂漠をよろめき歩いております。
 透きとおるような薄青い空に、白い雲は天空に吹きすさぶ風にまかれ、鳥や獣や森のかたちにすがたを変え、またたくうちに遠くからやってきては遠くに去っていくのでした。
 
◆ 

 むかしむかし、あるところに、桃の産毛のようにひかる赤い頬を持つ、ふくふくとしたちいさなお姫さまがおりました。
 おかあさまは領主の奥方、おとうさまは領主でした。
 
 金銀があふれるようにとれる贅沢なこの土地をおさめる奥方は、動脈から滴る血の色のダリアのように気性のはげしいきりりとした女性で、まいにち外国からやってきた盤上の遊戯とにらめっこしている領主のかわりに、けわしい顔をしながらテキパキと、城をおさめております。
領主は、王さま女王さまにあまやかされた五人兄弟の末っ子です。
 あまやかされた、というのはすこし可哀想なのかもしれません。王さま女王さまは、執務がいそがしく、末っ子にあまり手をかけられず、金銀で末っ子を育てたのです。それで、末っ子は身も心もつめたい金銀のように育ってしまいました。
 奥方は、幼いころからすさまじい魔力があった魔女でした。いいのわるいの、あまたの魔女を生み出した、貧しいけれど生粋の血筋なのでした。北方からやってきたあるまじないの書を手に入れていたのです。その書をつたえひろめれば、すべてのひとびと、村人も狩人も兵士も、そうしてかつては石つぶてを投げつけられていた魔女たちも、みなひとしく幸福になるというものでした。
 修行をしに町におり、黒いマントをかぶって北方の書の素晴らしさを人びとに説いていたところ、姿かたちのよさを見抜いた領主にひとめぼれをされ、その日のうちにうつくしい恋文とからだと同じ分の金をうやうやしく差し出されました。
 奥方は、だれよりもすぐれた魔女になるために一生乙女でいることを幼いころからまわりに告げておりました。家系の中の、結婚して魔力を落としたものをあざけってすらおりましたのに、領主との結婚はまたたく間のうちでした。
 盤上の遊戯は、奥方が手に入れた北方の書を、領主がよりわかりやすく立体化したものです。しかし由来がともかくあまりにもあやしいものですから、領主はいつのまにか魅入られ、虜にされてしまったのですね。
 ほんとうはこの恋や、北方の書にも、盤上の遊戯にも、それぞれ百冊のものがたりに編まれていいほどの悲しく苦しいできごとがあったのです。

 けれどもわれわれは、お姫さまとともに歩みましょうね。



 すぐに、お姫さまがうまれます。
 ところが国をおさめ、ひとの愛に飢えた領主をあまやかしているうちに、奥方はお姫さまに少し会うだけで、ぽろぽろと罅割れた水晶のような涙がこぼれ出て、真っ赤な声でお姫さまをしかりつけることをやめられなくなりました。
 眉間には皺がより、顔はけわしくなります。領主は盤上の遊戯の合間、無邪気に奥方の皺を囃し立てます。
 城にあるすべての鏡は閉じられてしまいました。
 お姫さまにはばあやを付き添わせ、どこに出しても恥ずかしくないように、踊りに提琴や、剣術に外国のことば、領主の盤上の遊戯の習い事もさせ、あらゆる美しい本を買って与え、ともかく遠ざけようとしました。それでも、城のなかで通りすがるときなど、お姫さまは、
「おかあさま」
と巣をもとめる小鳥のようにかけよってきますし、奥方は、硝子にきらきらとヒビの入って青い空が幾千幾万にも割れて落ちてくるような声でお姫さまをなじってしまうのです。
 その声をきいても、お姫さまがまた、
「おかあさま」
と泣きじゃくると、じゃけんに払いのけるのでした。
 
 やがて、お姫さまが通りすがっても泣くこともなくなって、ただ打たれたような目でじいっと奥方をながめるようになると、奥方は細い糸で首を痛いほどしめつけられるようなきもちになりました。
 魔女の家にいたころの、子どものころの奥方の姿のようだったのです。
 
 あたりのひとびとは、領主も兵士もほかのしたばたらきの人々も、そのことに気づかないようでした。そんなことは起こってはいけないので、無視せねばならないのです。
 
 ◆ 

 ある日、お姫さまは、むじゃきにうしろから忍びよって、奥方にギュウっと抱きつきました。
 奥方は虫をたたきつぶすように、とっさにお姫さまに悪い魔法をかけてしまいました。
 
 ◆
 
のこぎりのような歯のついた、大人のこぶしほどもある、奥方とお姫さまにしか見えない透明なナメクジが、お姫さまの全身に食らいつきました。お姫さまの肉はむき出しになり、血はからだを染め上げます。
 お姫さまは透明なナメクジを、必死でふりはらいます。
 お城の台所に飛びいってめらめら燃え上がる青い火で熱したお湯をあびて皮膚はずる向けになり、兵器庫に飛びいって銀に光るつるぎを突き刺して腕や脚に真っ赤な穴があき、とうとう城から転がるように抜け出して村にいって虫用のまっ黒な毒薬をあびては呼吸がつまります。
 
 やがてお姫さまは、美しかった衣物もぼろぼろになって、骸骨のお姫さまになってしまいました。
 
 領主と奥方は、骸骨のお姫さまのからだと同じ分の重さの金の飾りを背負わせて、兵士たちとともに国境の緑深い森へと連れて行きました。
 出立前に、ばあやだけがこっそりと近づき、
「あなたさまがお病気なのではないのです。どうぞ、ご無事であってください。わくしの命が御守りとなりますように」
と涙ながらにささやいた声だけが、お姫さまのクルミのような心臓にうんと小さな、異国の花火のような小さな光をもたらしました。
 
 森は黒く、風の鳴る音はおそろしい獣の低いうなり声のようでした。森の真ん中には鳥葬の塔が影とそびえ、豆粒のような黒い鳥が舞っているのがよく見えました。
「おかあさま」
「すこし気分をかえていらっしゃいな」
奥方は扇子で顔を隠しながら、うんとやさしい声でいいました。
「おとうさま」
「その金の飾りがあれば、よい医者がみつかるだろう」
金の飾りのぶんだけ少しからだが軽くなってしまった領主は、盤上の遊戯のつぎの一手のことを思いつき、そわそわしながら言いました。
「お姫さまは、奥方さまと領主さまによく似ておいでですから、かならずやこの試練をうけてよりよくなられるでしょう」
兵士たちは、ぼうっとした声で言いました。
 骸骨のお姫さまは、自分がだれだかよくわからなくなってしまったのです。
 からだだけでなく、こころの奥底まですうっと透けてしまって、森へ歩みだしたのです。
 
 そうして奥方と領主と兵士たちは、城へかえってゆきました。
 鏡を覆っていた布はとりはらわれ、もとのうつくしい奥方が映るのでした。

 それでも領主は、出産ですこし弛んだ奥方のおなかとお尻のあたりを、やはり盤上の遊戯の合間に、無邪気に囃し立てるのでした。

 ◆

 
 骸骨のお姫さまは、たくさんの骨の散らかる緑深い森の奥へすすみます。
森にはいろいろな泉があり、いろいろな茸や木の実がありましたが、毒のないのをたしかめて飲み、食べていくだけで、それは大変なことでした。けだものも、盗賊もありました。いろいろな国や領土からからいろいろなお姫さまや王子さまがやってきて、かんたんに死んでいきました。
 おかあさまゆずりの人を見抜くちからと、おとうさまゆずりの知識で、お姫さまは生き抜いてゆきました。それに、ひにくなことに、骸骨のお姫さまにかかっているお呪いの気配と、金の鎖の輝きが、ほんとうに危ういところを切り抜けるちからともなりました。
 
 鳥葬の塔には、子に弑された王や女王や領主や奥方の死体がはこびこまれ、鳥に啄まれておりました。
 そう、旅から戻ることのできた多くの子が、親を恨みこの森に同じように追放したのです。
 そのいたましい光景は、脳裏に地獄絵図のようにやきつきました。
 
 (わたしは、おかあさまとおとうさまを、愛している。いずれこうなるのならば、いっそ)

 血のような赤い毒茸を、そっと齧ります。
 骸骨のお姫さまは、倒れ伏しました。
 そのとき、ばあやにもらった胸の中の金色の火花がはじけ、からだに染みわたって毒を払い、ふしぎな蛍のように揺れて、森のゆきさきを示します。

 城では、ばあやは羽がおちるようにしずかに倒れ、息を引き取りました。顔には満足げな笑みがうかんでおりました。

 しかし、ようよう生きていた骸骨のお姫さまのこころは、そのとき、真っ暗になってしまったのです。


 
 蛍火を追ってなんとか森を出て、足の裏のじゅうじゅう灼ける砂漠に出ました。
 森より、見晴らしがよくからっと風が通る砂漠の熱さ。
 骸骨のお姫さまは、走り出しました。
 しかしひとたび転んでしまうと、きたところもいくところも分からなくなったのです。あんなに恐ろしかった森も、もう影も形もありませんでした。金色の蛍のあかりは、消えてしまっています。
 
 うつくしい布切れを纏い、にぶく輝く金の鎖をつけ、足を引きずりながら、ま白い日の照りつける、荒涼とした砂漠をよろめき歩きます。
 かたちを変える眩しい雲だけが友でした。
 
 いくたび、ガーネット色の夕暮れを見送り、いくたび、がたがたふるえながら、黒い空にうかぶ青の星をかぞえたことでしょう。
 
 砂漠のまんなかに、影がありました。
 
 その影は、ある一本の、何百年もの枯れかけた大樹でした。澄んだ水のたまったウロをみつけて、そのなかに倒れ込みました。
 ウロのなか、ひざを抱えてぼんやりとしているうちに、森で死に別れた友の亡霊がやってきて、骸骨のお姫さまを仄かに包み込みます。骸骨のお姫さまも、透明なナメクジでさえ、深い、夢も見ない眠りにつきました。
 
 砂漠にはめずらしい、シトシトと雨のふる日がありました。
 そのあくる日、骸骨のお姫さまは、繭から羽化したのです。
 姿かたちはあまり変わっていませんでした。けれども、ほんのすこし、砂漠を歩ききる力が、足にもどっていました。
 
 骸骨のお姫さまが出たあと、大樹は、ウロのところから、しずかに倒れました。 
 


  やがて翡翠の色をしてドウドウとうねる、冷たい海の浜に出ました。そこには、漁師たちの町がありました。
 そのころにはすべての肉と内臓、そうして美しかった布まで透明なナメクジにむしゃむしゃと食べられてしまい、素性も知れぬ真っ白な骸骨が金の飾りをかけているものですから、漁師たちは金の亡者のなれの果ての幽鬼と思い、石つぶてを投げるのです。
 石があたると、カランコロンときれいな音が鳴りひびきます。
 漁師たちはいつしか石を投げるのに夢中になって仕事をしなくなってしまいます。漁師の町は猫もしっぽを逆立ててうなるほどの腐った魚のにおいにみちていきました。骸骨のお姫さまは、さびしくさまよって町はずれの白い十字架のヌクヌクとたつ薔薇の丘にたどりゆきます。
(困ったもんじゃ、ほうれ、高貴なかたや、こちらにいらっしゃい)
やさしい漁師のご先祖さまがたに導かれて、薔薇のしげみのなかに隠れながら、町のさびれてゆくさま子をみて、骸骨のお姫さまはよりいっそう、儚くなってしまいたくなるのです。
(いろんなことがあった。いま思えば、森で死んでしまっても惜しくはなかったのに、このからだで、まだ生きてしまっているわ。なにもよくなってはいないわ。どうすれば死ねるのかしら)
そればかり考える日々。
 ある日、薔薇が咲きました。
 香りにさそわれ、ふっとしげみから出ます。あんまりに、その黄色い蕾やらひらいた花やらがかわいらしいことに気持ちがなごんでしいます。薔薇の冠りを編んで、青い夕暮れの空には、うっすら月が出ておりました。
 ふっと、息をおおきくつきました。
 しばらくぶりにこっそり浜辺におり、ぞっとするほど広い翡翠色の海のまえに立ち竦んでいるとき、ボロボロの衣を纏った、ずいぶん気楽そうな顔をした痩せこけた若者が通りかかりました。
 
◆ 

 若者のうしろには何十もの白い襤褸切れのように骸骨どもが幾重にもしがみつき、肩に噛みついては血を垂れ流させております。その骸骨どもの目は、うつろでうらめしく、虚空を睨みつけてはヒュウヒュウと風の鳴るようにうめきます。それなのに若者はふしぎと飄々として歩いておりますが、すでにからだは痩せこけてしまっていました。骸骨のお姫さまは、若者の背負っている数多の骸骨をみて、ヒュウっと息を飲みました。
(このまま嘆いているばかりでは、わたしもきっとあのようになり下がってしまう)
 若者の方も、自分には一生手に入らないであろう金の飾りを背負った骸骨のお姫さまが、かなしそうに浜に立ち竦んでいることを不思議に思って、話しかけます。
 ふしぎなことに、若者には、骸骨が、骸骨のお姫さまだとわかったのですね。この不思議ばかりは、どんなことばでもいあらわせません、
「どうしてそんなにかなしそうになさっているのですか」
「あなたの目には映らないでしょうけれど、わたしのからだには、大人のこぶしほどもある透明なナメクジが何十匹も這っていて、どうしても取れないのです」
「そこに海があるではないですか。塩水にはいれば、どんなにナメクジでも、簡単に海へ還ってしまいますよ」
「この金の飾りの重みで、海に入ってしまえば、わたしはきっと溺れ死んでしまいます。そうしてこの金の飾りを捨てることは、わたしにはできません。おかあさまとおとうさまがくださった、ただひとつのものなのです」
「なに」
若者は笑いました。
「こんな目にあって骸骨になってまで、あなたは生きているじゃあありませんか、きっと帰ってこられます。僕だってこのように多くの母の呪いを引きうけても、まぁ生きてはいるのです。海で遊んでくるといいですよ。金の飾りはちょうどいい重しになるでしょう。僕が帰りをまっています。僕は少しまえ、婚約者を海で溺れさせて亡くしたのです。あなたならきっと、僕の婚約者とも会えるでしょう」
 
 若者をじっと見つめるうち、不思議とこころが落ち着いてきました。そうして翡翠色の海に飛び込んだのです。
 
 大きな波にからだのひきずられてゆく恐ろしさ。
 それでも、骸骨のお姫さまは、いままで透明なナメクジにかじられて、肉も内臓もぼろきれのように食い千切られて痛んできたこと、自分で自分に何をしてきたかを思うと、不思議とこころが落ち着きます。
 

 
 深い、深い海です。
 
 お城で出されたアケビのように漂うクラゲに触れると甘くピリっとしました。
 銀色の夏の風のようにそよいで群れる魚たち、底にみえるけわしい岩々とゆれる緑の藻。
 やわやわと、厚いレースのような赤いのは、タコで、だきしめられるときゅっと吸盤の跡がつくのです。
 
 海は、雨に降りしきられるようにとても重く、からだは砕けてしまいそうですが、骸骨のお姫さまは、「生きている」と思いました。
 
 そう、透明なナメクジに気をとられ、骸骨のお姫さまは、自分がまだ生きていたことを忘れてしまっていたのです。
 
 ◆ 
 
 沈むところまで沈んでいきますと、巨大な、死にかけた真っ白いサメがおりました。からだに深く切り刻まれた傷がつき、そのからだを静かに底にある岩に横たえております。となりには、真っ白に腐った女の人がいて、優しくサメをなでているのでした。
 骸骨のお姫さまは、女の人を見たときに、あの若者の婚約者と、すぐに分かりました。ぶよぶよに膨らみ、飛び出しかけた、優しそうな目。骸骨のお姫さまは、ふしぎに、なにもない眼窩からポロポロと塩辛い涙を流すことができました。
からっぽであるはずのからだから、海よりも塩辛い涙があふれだしたのです。
 
 「そんなふうになるまで、生きていらしたのですね。私はもうこのように、死んでしまいました。いまはあたらしいこのサメの伴侶を得て、この海の底でおだやかに暮らしています。あの人にそう、お伝えくださいませ。あなたならば、きっと帰ることができるでしょう、あの浜へ。こんな目にあって骸骨になってまで、あなたは生きているんですから」
「この金の飾りを、あなたたちのその真っ白なからだに差し上げたく思います。とてもよく、映えることでしょう」
 そうして骸骨のお姫さまは、金の飾りをからだから外して、女の人に手渡しました。そこではじめて気づいたのですが、金の飾りは、鎖の形をしているのでした。
 

 
  森の、砂漠の、海の旅。
 そうして海よりも塩辛い涙ですでに縮みかけていた透明なナメクジは、真っ白に腐った女の人に金の鎖を手渡したとたん、たがのはずれるようにぜんぶ外れてしまいました。透明なナメクジは奥方からのまじないでしたが、金の鎖は領主からの、ナメクジが外れないようにというまじないなのでした。そうして透明なナメクジは、真っ白な腐った女の人と、死にかけたサメをむしゃむしゃと食べて海に溶けてしまいます。
 
 金だと思い込んでいた鎖はみるみるメッキが剥がれて赤く錆び、春先に散る梅の花びらのようになって、深い翡翠色の海の中に散ってゆきました。
 
 「これでやっと成仏できるぞう」
 そんなたくさんの声が、そこらに響きます。
 
 同じころ浜には突風が吹いて若者にしがみついていた骸骨たちは、うんとちいさな白い鳥に変化して天空に舞い上がってゆきました。白い鳥たちの羽は若者の頬を引き裂いて赤い筋をつけました。鳥は水色の空に舞いあがり、その白いちいさな点は空のいちばんてっぺんでゆるやかにほどけ、淡い糸になって見えぬ機で織られ、真珠色の衣になって、若者の腕のなかにフワリとおりてきました。その天衣の中からは元気なあかんぼうの声がして、そのときばかりは若者の目にすこしひかるものがありました。
 
 骸骨のお姫さまは、身軽になって浮いてゆきました。そうして若者が待つ浜へと、打ち上げられたのです。
 
 骸骨のお姫さまは、肉も内臓も取り戻すこともなく、金の飾りもなく、いまはただの骸骨の女の子です。いいのです、そんな骸骨の女の子を、若者が好いてくれるのですから。そうして誤解をといて漁師の町に住み、米のとぎ汁やもらい乳で赤ちゃんを育てながら、若者とひっそりと暮らしています。カランコロンと優しく笑い響く骨の声が聞こえてきます。
 

 
  領主と奥方もまた、それなりにしあわせに過ごしています。ふたりともふと風に乗っては聞こえてくる骨の音に耳を澄まし、ふっと視線をさまよわせるのでした。 


散文(批評随筆小説等) 透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま Copyright 田中修子 2018-08-19 13:11:46
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