無題
◇レキ
無意味に星が光ってる
無音の中に光ってる
無意味に地球がぐるぐる回る
特に変わらず回ってる
だから無駄にブルブル言わせて走る
無駄にでかい声でしゃべってる
にいちゃんねえちゃんにがんばれって思う
だから同じ値段でどっかの子供100人救える煙草を買って
無駄に煙にすることには意味がある
だからなんか生えてる緑を見ていたい
だからサグラダファミリアは未完成であればいい
だから沢山死人が埋まってる地蔵だらけの塚に小便をする
だって僕らは生きているんだもの
※
僕は一番星をそっと見るんだ
空が突き通ったようにどこまでも広がっている
薄雲がなだらかに空を支配してゆく…
僕は一番星をそっと見るんだ
この果ての無い空を地べたから そっと見る
食い尽くされた体だなぁ
一歩も動けず動かせないで
あまりに広がりすぎた
過去の肉達は
そこいらじゅうに散らばる空気に溶けて…
この途方も無い絶望に
この途方も無い飢えに
柔らかに風が去ってゆく
このたった一人の幸福は
世界からの賛美じゃないの
あまりに広がりすぎたからなの…
※
煙草の煙が尽きるまで
世界がさぁ
おいしいかいって聞くからさぁ
殺したいって小さく呻くの
世界がさぁ
ふふふってわらうからさぁ
あははって笑い返すの
世界がさぁ
嘘みたいに在るからさぁ
きりきりと歯を食いしばるの
ねぇ これは
僕だよねぇって聞いてみた
遠くに見える 風景を掴んで
そしたらさぁ
世界はさぁ
馬鹿みたいって風景を
ころんって転がして、消しちゃうの
えぇっそうかって苦笑いするでしょ?
そしたら世界はちょっと窮屈そうにざわめいたりしてさぁ…
甘い 甘い
おしゃべりの時間
きっと沢山の不確定が君で
僕が見たとき君は僕以外になれないのさぁ
だって、僕が見ている君だもの
※
久しい木漏れ日見上げれば
他の人を呼ぶ声がする
奥に見える青空に
もうないね
もうないの
もうないの?
ごう と風
木漏れ日揺らせよ