この夜の向こうへ
塔野夏子

それでも少しでも
陽気でいようとした君
その痛みの響きが夜を震わせている

どこかから落ちる夢を見て
怯えて目をさました君
今からでも間に合うならば
この手を差しのべさせて欲しい

君が泣かなくてもすむ場所を
探そう
当てはないけれど
きれいな風を受けとめる帆を
心にかかげて

それでも少しでも
陽気でいたかった君
その痛みの響きを少しでも溶かせるなら

今からでも間に合うならば
その手をとらせて欲しい
連れてゆきたいんだ
君が自由に飛ぶ夢を見ながら
眠れる場所へ

当てはないけれど
心にかかげた帆がはらむ
きれいな風を信じて



自由詩 この夜の向こうへ Copyright 塔野夏子 2018-07-01 11:24:49
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