ひとりサマータイム
イオン

「そうか、今日も早出してたのか?」
「あぁ、働き方改革でな
 成果主義とか言いながら
 時間規制を設けることが矛盾しているよ」
「そうだよな、俺たち凡人に
 時間内に成果を出せと言っても
 時間に応じた成果しか出ないのになぁ」
「なんか、過労死を防ぐために
 死ぬほどつらい目に遭わされるって
 どっか、変だよなぁ」

「なぁ、限られた時間内に成果を出す人を
 天才と呼ぶんだよなぁ」
「あぁ」
「なら、残業時間をかけて成果を出す人を
 サラリーマンと呼ぶんじゃないかい?」
「確かになぁ
 凡人の活躍場であるサラリーマン稼業に
 天才の技量を求められてもなぁ
 そのうち気が付くとは思うけど
 それまで、どう受け流すかだな」
「さすがだな、サラリーマンの天才」

「それにしても、朝早く出て
 コソコソ仕事をしなくてはいけない後ろめたさ
 なんとかならないのかね」
「サービス残業ならぬ、サービス前業か」
「そうだな、でも穏やかに
 ひとりサマータイムと言ったほうがいいかな」


自由詩 ひとりサマータイム Copyright イオン 2018-06-23 12:51:39
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