錆びる
青の群れ

嵐の到来を伝えるラジオの音
突然の雨がアスファルトを冷やす
雲が覆い尽くした赤黒いアーケードを足早に歩いた

湯気のように霧散していくこともなく
ただじっとりと身体に纏わりついている
ぐずぐずになった靴

心地いいところに吐息をかけて
泳いだ目の波間を縫う
隠れた太陽を待ちわびて

時計の長針が十二回ぐらい回るあいだ
布団から出ないような季節
触れ合うだけが娯楽だった

増えたり減ったりするビニール傘には
だれにも所有権がない

なんでも防水にしないでね
錆びて使い物にならないくらいがちょうどいい
豪雨に投げて終わりにしよう
消えた電話帳、あの人の誕生日だけ覚えてる

自然災害みたいなものでした


自由詩 錆びる Copyright 青の群れ 2018-06-20 23:02:07
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