いっぱいの馬鹿
花形新次

発せられた状況を
無視して
言葉を捉えると
とんでもない間違いを犯す
例えば
ボクシングの試合前に
「殺すつもりでやって来い」
とセコンドが発破をかけることは
よくあることだが
だからといって
試合後に
アイツに殺人を強要されたと言う
馬鹿はいないし
あなたは選手に殺人しろと言ったのですか!
と詰め寄る馬鹿もいないのだ

もっと言うと
相手を潰せと指示したから
こうなったとして
もし「死ぬ気でやって来い」と指示したら
マジで死んだのだろうか

もし死んだとしたら
死んだ奴は馬鹿だし
あなたは選手に死ねと言ったのですか!
と詰め寄る奴もやっぱり馬鹿なのだ


自由詩 いっぱいの馬鹿 Copyright 花形新次 2018-05-23 22:24:07
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