リクエスト(まるでひとのよの夢)
秋葉竹



お帰りなさい、あたし、うれしいよ。
って、いいたいよ。
あたし、あなたに、会いたいよ。

あまいドーナツを食べたいな。
あまさの上にあまさを重ねた、
ほっぺとろけるお菓子が食べたいな。

誘って、なんども
誘ってみても、
どれだけ声かけてみても、
叶わなかったお願いがある。
大好きなあなたにお会いしたいというお願い。

それは星に祈る無垢な愛、
と、
言っていいものかもしれない、
言っちゃダメなのかもしれない。

あたしが大失敗して、失笑された、
星空に浮かぶ星々を飴玉に例える歌を、
あなたに歌ってほしいなぁ。

白魚のような両手の
人差し指を1本づつ、
このおちょぼ口にくわえこんで、
歌ってほしいなぁ、歌ってほしいなぁ、
と、
せがんでいれば、
突然あの人が現れて、
歌ってくれるんだ、と。

夢物語のように
心にしみこませるあまったるさで、
歌って聞かせてくれる、
真っ暗な、乾ききったこの部屋で、
そのやさしい歌をききながら

好きすぎて殺したいなって思うんだろう、きっと。

その時、
汚しちまった孤独の毒を
銀貨の瞳に映し出し、
まるで、
ふたりの再会を祝う星の雫、
降りそそぐ夜空を、
広い窓を、開けて、見上げて、

好きすぎだから、もう、殺したいなって。








自由詩 リクエスト(まるでひとのよの夢) Copyright 秋葉竹 2018-05-12 20:34:58
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