ひきづる
宮木理人

重たい袋を引きづりながら
深夜の国道の真ん中を西に向かって直進していると
後ろからクラクションを何度も鳴らされ
そのたびになんだか気が大きくなっていくおれは
酔っ払っているみたいになって
両脇の建造物が 、マラソンランナーを応援する観衆のように
おれに向かって手を振ってくれていた

朝日が昇るまでひたすら進む
そうすれば、ほんとうに、朝日が昇りはじめるんだろう

道が途絶えても、ずっとずっとひきづる
誰も見ていないからこそ、ほんとうのアピールになりうる
仲間も、関係者もみんな置いていって
海に潜ってもひきづる

「あのときは何をお考えになっていたんですか?」
インタビュアーの質問

サンゴ礁を避けながら、ひきづる
重たい袋を持っていたら
決して浮き上がることはない






自由詩 ひきづる Copyright 宮木理人 2018-05-04 00:25:56
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