いつかの上野
番田 

sと上野で会った私
私はsと ただ カラオケに行くためだけに 
ヨドバシカメラのオーディオコーナーの
真ん中あたり 彼のそこで私を待っていた3Fにいた


彼のいつもと変わらない出で立ち
私はそれから アメ横を歩いた 彼と
私はその中を 黒いカバンで何も買うということなしに
アメ横の休日を 浮足立つ街の人々と


私が出会う 何もかもが 新鮮だった 古い友人である
彼とアメ横を二人で歩いていた日
すでに結婚した彼と待ち合わせしていた日は 
渋谷も新宿も同じように 皆一つの街だった
しかし今私の目に映る上野は 渋谷とは異なる
人並みのやや寂れた街であり
新入社員だった希望に満ちた男が歩いていた街であり そこに
小さな期待に胸を膨らませていた一人の若者がいた


私が当時の友人と入ったことがあるカラオケの記憶
そこで私は sと歌っていた その日のことを
マイクは私の顔を覚えているだろうか だけど 友人ですらも
あの日の私のことは忘れてしまっただろう 今は


自由詩 いつかの上野 Copyright 番田  2018-02-14 00:11:50
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