アメ横②
よーかん

「ああ、まあ、前回来た時は、カルダモンとシナモンのミックスを試して。」
「はい。」

この娘は、なんか前回の二人と違って、生真面目すぎて重たい。

「うんと、今回はカルダモンとミント。試そうと思います。」
「あ、はい。では、用意します。」

「ども。」

上野、アメ横、薬屋となりの水パイプカフェ。

デサントのメタリックワインレッドのベースボールジャケット
1500円で買って上機嫌だから、
ついでに、前に見つけた水パイプカフェで寛ぐことにした。

前回会った、女性店員さんはザンネンながら今日は新宿店らしい。

「あのね、前、初めて来た時、会った店員さんに
 また会えたらと思って来たんだけど。」

「はい」

彼女は水パイプを吹かすことはせず、
ただそのまま置いた。

「ああ、なんか素敵なヒトだったから。」
「はい、沢山喋れたヒトが来たって、言ってましたよ。」

「ああ、そう。
 ウザがられてなさそうで嬉しい、かな。」

はい、そうまた言って、少し硬めな微笑み。

(つまんねえな、この娘)

「タバコ、いいかな。」
「はい。」

「灰皿、ありますぅ?」
「はい。」
だけ言って、取りに行く。

ピースを出して、来る前にツケた。

なんだろね。

店なんて、店員がほぼ80%だって、
この娘は気付いていない。

このテのバイトって最近多いな。
お・も・て・な・しぃ、は、
意外なほど上級者だけが

知る世界だから。

ああ、

ケバブ買って帰んだったな。

ああ、

ザンネン。





自由詩 アメ横② Copyright よーかん 2018-01-26 21:58:32
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