終わり ひとり Ⅱ
木立 悟





碧い羽が曇を包み
少しずつ少しずつ破れ
水の光をこぼす
光の水をこぼす



海の上の空に
海が映りゆらめく
朝はしずか
昼はしずか



とり残された場所
どこからも等しく離れた場所
生きていないのにあたたかく
うつぶせの場所



薄い薄い薄い虹が
重なり合うときだけ現れて
波打ちぎわのひとつの
旧い椅子を照らしている



地と同じものがどこまでもつづき
空はもう無くなったのかもしれず
さざめく音の照り返しだけが
誰も居ない街に寄せるばかり



碧と碧の会話のなかに
眠りは滴り 入り込み
まどろみは頬から指へと伝い
ひとりの肌をあたためてゆく


















自由詩 終わり ひとり Ⅱ Copyright 木立 悟 2017-12-30 19:58:46
notebook Home 戻る