意地っ張り
坂本瞳子

左の肩に少し寒さを感じる
凍えるほどではないけれど
風邪の前兆でなければいい

嗚呼、あの人が近いのか
笑顔がどうしても引きつる
左の後方が気になるのは

後ろ髪が引かれる想いを
いつまでたっても完全には
拭うことができないままで

涙が零れることはないけど
振り向くことさえもできずに
聞こえなかったフリをする

耳を塞いで口をつぐんで
振り返らない振り返らない
捨てたい過去を見ないで

通り過ぎて行こうこのまま
なにもなかったかのように
前だけをしっかり見据えて


自由詩 意地っ張り Copyright 坂本瞳子 2017-12-28 21:58:38
notebook Home 戻る  過去 未来