いとなみの川
唐草フウ
川が近づいてそっと入っていく
金属くさい くさい 私と
その鎖のつながりあるところまで
この世が終わるなら私ひとりだけ終わっていいと
いつも思っていた いつも思っていた
どんな流れでも私は魚になったようでなれるわけはない
手のひらは鰭と化すようで一瞬のうちに骨になり砕けていく
御免ください
お待ちしています
誰を?
私の知らない川のなか (いいえ知っているはず なぜならばここは)
奥底で招き引っ張る手はきっと幻視だろう
くるくるくると回ってる
「あなたはいい人ね」
いいえ私は夢の中
誰かのラップフィルムになっていただけです
温めたり冷やしたり包んだり便利だっただけです
終わってしまえばただの紙の芯
ふやけて
誰かここから釣り上げて
針が見つかればよろこんで咥えます
ただ難しい演出家のひとじゃなければいい
かんたんに息を絶えさせないよと言わない人
流れが解決してくれるよとは言わないで
川なのに波が誘っている
波の中に個が 子が たくさんいる
本当になりたい姿への切り札たちだよと手を振っている
私はもうその中へ入って掴む程の気力がなく
釣り上げて打ち上げられたまま 意識の滑り落ちていくのを待っている