道化師~砂漠の夜に~

叶わない夢があった
叶わない愛があった

雲間に射す月明かりに
旅を終えた道化師は
何を見たのだろう

年老いた深い皺には
いくつもの物語が刻まれ
ともし火はかすれ行く

月明かりは去った

砂漠の夜は道化師を包み込み
濃い蒼に溶かし始めた

雲は月明かり攫い始め
道化師は宙に語りかけた


私は私の人生に後悔している。
また、私は私の人生に満足している
私は私の人生の大半を
人に笑われる為に費やした。
雲よ。
お前に感謝したい


道化師が語り終えると
雲は月明かりを連れ去り、
砂漠の夜は深い蒼に包まれた


written by Shima
The original was written in 2006
rewrite in 2017


自由詩 道化師~砂漠の夜に~ Copyright  2017-11-12 22:53:26
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