思い出
無限上昇のカノン

その部屋に入ると
うず高く降り積もった埃と
かび臭さが鼻について
忘れ去られていた時間を思う
もう 何年 何十年と誰も足を踏み入れず
部屋の存在すら忘れてしまった
大事なものがたくさん保管されている部屋なのに
持ち主さえも忘れてしまった

埃の下から出てくるものは
ある人にとってはガラクタで
ある人にとっては宝物
部屋の主人の大事なものは
いつの間にかガラクタに変わり果てていて
そのまま不燃物のゴミに分別される
思い出はとっくの昔に
燃えるゴミに出してしまったから
今 残っているものは
その抜け殻でしかない


自由詩 思い出 Copyright 無限上昇のカノン 2017-11-08 16:06:35
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