晩秋の一頁
もっぷ

心のなかの晩秋は
村雨ばかりの降りしきる
そこへわたしは土足で立ち尽くし
自らを裏切り続けている

かなしみ屋の通り道で
一等かなしいラブストーリーを と

けれどいつまでも訪れず ふっとハロウィンの
喧噪への切符を手渡される
誰、と思えばそれは夫で
彼も泣いている それなのに
わたしにガーゼのハンカチをくれて

ついそこで拾ったから

、夢は明けて 夫がわたしの
顔を晴れ晴れと覗き込んでいる
起こさないつもりだったのに と懐かしい声で

心のなかの晩秋に一筋の
ひかりがそっと すこしずつもっと
わたしは
靴を脱いで 夫に
しがみついて確かめる

ちいさなキス
ひとつあなたから
ひとつわたしから
傘のなかった侘しさはもうどこを探しても 何故って
またひとつキス あなたから
おはようと聞こえた



自由詩 晩秋の一頁 Copyright もっぷ 2017-10-25 00:37:53
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