翼あるもの
無限上昇のカノン

走る
走るのは得意じゃない
喘息が出て苦しくなる
それでも走る

私のずっと後ろから
私の頭上を飛び越えていくものたち
この緑の大地を
このコンクリートで固められた街を
自由自在に飛び回り
大きな痕跡を残していく
そんな彼らに追いつきたくて
走る
走る
走る

才能の無いものは
どうしたって才能のあるものには敵わない
猿真似ならできるかもしれないけれど
決してオリジナルにはなれない
翼のないものは
決して翼あるものには敵わない
数年間かかることを
数秒で完成させてしまう才能
追いつきたくて
走る
走る
走る

もう限界だ
喘息が呼吸を奪い
死の淵に立たされる
翼あるものたちは
私のことなど見向きもしない
死の谷間にあっても
私は憧れる
翼あるものたちに
その未来に



自由詩 翼あるもの Copyright 無限上昇のカノン 2017-10-18 11:14:48
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