デスリミット
寒雪

気が付くと
ぼくの鼓動が
人の半分しか
ハーモニーを
奏でることが
出来ないと知った朝
カーテンを開けると
いつもより大きい
青ざめた太陽が
ぼくの瞳に
情け容赦なく
次々と突き刺さる
空々しさに
目を伏せて
ただただ
有限の暗転に
身をやつす
こんな時には
ぼくの心に寄り添う
絶望にも似た
最果ての希望を
渇望して止まないのだ
それが
未来という言葉を
ぼくから
永遠に遠ざけてしまう
もしそうだとしても
弱々しい鼓動が
瑞々しく
ぼくの心に感じられる間は
暗い光だとしても
ぼくには必要なんだ
そうでなければ
ぼくは
明日沈む月と共に
消えてなくなってしまうから


二度と
別れることのない
消毒液臭い
白いシーツの上
起き上がることもなく
ただ天井のシミだけを
飽くこともなく数えている


自由詩 デスリミット Copyright 寒雪 2017-09-22 19:51:26
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