盲目ナイフ
あおい満月

見えないナイフを抱えて走る。
私は胸のなかに盲目のナイフ
を抱えている。何も見えない
くせにたくさんの人を傷つけ
て泣きながら笑っている私の
ナイフ。月明かりの匂いだけ
はわかるようで顔を出しては
風をあびている。私の右手が
傷だらけなのは、皆ナイフに
切り刻まれた痕だ。生肉のよ
うな虚しさを唄いながら血が
滲む。今夜も、盲目ナイフが
声を上げて叫び続ける。自分
を呼び覚ます月明かりの声を


自由詩 盲目ナイフ Copyright あおい満月 2017-08-30 14:03:20
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