黄色い花
水菜
心象風景の中揺れている黄色い花
花の形は竜胆に似ているウコンの花
本来ウコンの花は、黄色でないことを知っているわたし
本来は 桜貝のような色や白絹の純白な色の鱗のように重なった淡い緑の苞の中に遠目からは葉に隠されて見えない花の中心に輝く黄色を持っているそれは
今、強い黄色の光を受けて黄色く風に揺れてる
淡い緑の細長い羽のような葉が強い緑に生命力強く見えて 真っすぐな葉脈 葉を揺らして
瑞々しい緑の高い山 鮮やかな青の空に縁どられて
崖の傍でゆらゆら揺れている
わたし あれをしってる
霧がかっているような
もやがかかったような
少しぼやけた夏の風と空気の中に
爽やかな少しひんやりとした山風に
レモン色っぽくぼやけて でも強い存在感のまま揺れてる本来 黄色ではない筈の花
わたしの心象風景のそれ
近づいて近づいてそして遠くなって
幻の柔らかな笑い声をたてた少女が
小さな黄色い花束を右手に持って
その黄色に見える花に向かって駆けていく
薄いピンクのふわりとしたワンピースのスカートが風で丸く膨らむ
肩口ほどの柔らかそうな髪
少女の傍でトンボがふわりと舞い上がる
音が耳に残り音だけがそこに置いて行かれる
幻のそれはわたしの心象風景
風が連れてきたわたしの
甘やかに笑う風とぼやけたように淡くかすむ黄色に見える花 風 秋の それ
いつのまにか淡く残り香だけ残して消える心象風景 幻のそれが
風がわたしの頬を柔らかくくすぐって
自由詩
黄色い花
Copyright
水菜
2017-08-30 00:03:52