恋の色とイケナイ色
水戸 うしん

あァ、
もうこんな時。
刻限を忘れるほど
夢中になっていたか

あっという間だった、なぁ。


顔上げれば一面炎のよう

夕日がきれいで
朱色に染まる体
泪は無色
なんで色付きの泪は出ないの



辛くて苦しい 青藤色


嬉し涙の 薄桃色


悔し涙は 墨色


怒りの涙は 丹色


笑い転げたら 菜の花色


人体から流れ出しては
イケナイ色。


でもね、泣いている人に
どうして泣いているの

聞かなくても、わかるから。
流れ、おちる。泪色で


春の風に混じる花粉の匂いに
苛立つ僕は鮮血の泪を拭う



夢中になって追いかけた人
待って、
ねえ。待って、待ってよ、

あの人は
帰らないから。



オオカミになる前に帰ろうか



自由詩 恋の色とイケナイ色 Copyright 水戸 うしん 2017-08-20 14:35:42
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