開拓の停滞
寒雪

灼熱の太陽が
口を大きく広げて
地上のすべてを
吸いつくさんとしている
その下で
赤く焼けただれたケロイドみたく
焼け付く臭いを充満させた
溶岩の中ぼくは
どうしようもなく埋もれている


頭の中に
たくさん転がっている
見たこともないような
ガラクタを
一つ一つ
眺めても
今ぼくが
ここでなにをしたいのか
ここへどうやって来たのか
記憶の底に埋もれている


どこからともなく
大丈夫かい?
声をかけられることも
よくあること
本当のところ
居心地は決して良くはない
暑いし痛いし
流れてくる溶岩を
どうしようもなく
ただ
右から左へ受け流す
そんな毎日が
今日も
ぼくの代わりに
日めくりを手際よくめくって
ぼくの
乾ききった時は埋もれていく


飽き飽きする一日
過ぎていく未来
握っていた砂が
気が付いたら
ドブ川の底に眠る
薄汚い砂金くらいまで
減っていたよ
手のひらが空っぽになったら
そのまま抜け殻になって
誰かの道しるべにも成れずに
ただ
溶岩と共に跡形もなく消え去って
ぼくという存在は埋もれていく


わかっているんだ
それが
避けられない現実


正直に言おう
ぼくは
埋もれていくのが
怖いんじゃない
明日昇る
満点の星空と
みずほらしい月を
ぼくの
ステレオタイプな瞳では
見つけられない
ただそれだけが
恐ろしくて
恐ろしくて


明日も
ぼくは
太陽の支配に
怯えながら
流れゆく世界の中に
埋もれていく


自由詩 開拓の停滞 Copyright 寒雪 2017-07-30 17:01:19
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