辺 端 淵
木立 悟





雨のような風の音が
低い高さを走りまわる
電気と電気の話し声が
誰も居ない径を流れゆく


音が音を曇間へさらい
騒がしさは遠く 遠くなる
光から音 光から音
手をつなぐ午後の輪のかたち


雨のための器
さしだされる手のひら
昇る音の背
砂の上の草紋


光の横顔が双つ重なり
冬を横切る川となり
銀に黒に鈍になり
花を見つめる白い影になる


折りたたまれた街の端から
街は向こうの街を見つめた
そこでは街が造られていた
街が街に乗せられていた


器からこぼれるものを器がすくい
光が動き 音がなぞる
砕けた陽の霜柱
誰も居ない径を彩ってゆく



















自由詩 辺 端 淵 Copyright 木立 悟 2017-07-23 16:20:54
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