雁行
もっぷ

ゆくえ ゆくえ
しあわせのゆくえ よろこびのゆくえ
この子のゆくえに佳きみちを

ゆくえ なんてつけないでね あたしのなまえ
ママのおなかのなかでたのんだのおぼえてる
ゆくえはそうつぶやいて泣きそうな顔
かのうせいとかいうもんをたくしたんだって
ゆくえはほんとに泣いている
だから すこし うたった

ゆくえ ゆくえ なみだのゆくえ
ゆくえのなみだは どこゆくか
ゆくえ ゆくえ なみだのゆくえ

…たしのなみだは どこゆ…

思わずおさななじみを抱きしめた
、ふとみあげると雁行が
気づくと ゆくえの目も雁の群れを追っている


  * * *


あの日も もう遠くなり雁行の空のいま
ゆくえはもしかしてわたしを想ってくれることあるかな
わたし来世は雁だったよ ゆくえ

ひとりの老婆がオレンジ色の世界で
いつまでも鞦韆ぶらんこに腰掛けている

みあげてるとあぶないよ 悠久詠





六歳の背丈で空を見上げた日「雁行」と知らず雁は飛んでた




自由詩 雁行 Copyright もっぷ 2017-07-19 23:06:33
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