人魚
さき

ねえ
世界で誰もが認めない恋愛がこの世にあったとして
それを止める術があるって
本当にあるのかしら

人の命を奪うことは
とても最悪な犯罪なのに
生まれてきた熱情を殺すことは
何の罪にも問われないのかしら

誰かが悲しむような恋はやめなさいって
私の恋は誰かのためにするものじゃないわ
それで泣く人がいたとしても
私だって泣いているわ
そんな辛いならやめましょうって
そんなの恋なのかしら
損も得もないところに生まれる
望もうと望むまいと
どうしようもない
抑えがたいものがあること
みんなは知らずに済んでいるのかしら

羨ましいのはこちらの方よ

恋が破れたから
私は泡になったのよ
それを分かっていても
あの人を愛することを
やめられなかった
私は不幸なのかしら
でも
幸せも不幸も自分で決められるのだとしたら
私は自分は不幸だとは思わないわ

生まれてきた意味って
自分が自分の命を楽しんで遊ぶ以外に
何もない
誰かのためって
あり得ない
結局それって自分のためなのよ
自分がそうしたいと思って積み重ねた今なのよ
だからね
彼の無事と引き換えに
この身の全てを捨てた時も
私は何も思わなかったわ

ただ少し
思ったの
私は今の私になることを最初から選んでいたわけじゃない
でも
行き着く先がここだった
そして
それでも
もう少し彼と楽しく遊んでいたかったな
って

愛することって
気持ち以外何もないのよ
でもその気持ちって
大事な命
そのものなんだわ





自由詩 人魚 Copyright さき 2017-07-17 23:28:45
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