透明紳士
やまうちあつし

透明な紳士が
君の側にいる

趣味のいいネクタイ
よくみがかれた革靴
透明だから見えないけれど

天使でもなく
守護霊でもない

呪ったりしてない
助けてもくれない

ただ見ているだけ

君のよろこびを
君のかなしみを
君のとまどいを
君のこうかいを

そして時折君の肩に
ぼむ、と手を
置いているだけ
人知れず

そんな時君は
夕焼けや三日月を
ふと、見上げている


自由詩 透明紳士 Copyright やまうちあつし 2017-07-17 16:48:06
notebook Home 戻る  過去 未来