やつは僕のクサビだ
竜門勇気


高所に備えられた
誰もが恐れる放水砲
水瓶が空っぽでも
クソの粒が飛んでくる

一人のときには
音楽聞いて泣いてます
みだりに使われる
容易い言葉で酔っている

セス、お前が死んだときに
僕は思った
これからどんなライブを
見損ねたとしても
後悔はしない
君は僕に見られることなく消え失せ
僕は君を見ることなく生きている

仮面の毎晩
面影で拾う熱く腐った情熱が
拾うそのそばから窓から射す
陽の影に刺されて壊れる

やつは僕の人生に
何もかもを与えて去ってった
僕は見えるようになり
憎しむようになり
そして目を閉じる方法も覚えた
それが全てなんだ
あのいやらしいバニラビーンズのように
それを薄めて優しいものは作られるんだ

多分、このいやらしい感情がなければ
僕は人らしくあれない


自由詩 やつは僕のクサビだ Copyright 竜門勇気 2017-07-17 10:51:42
notebook Home 戻る  過去 未来