ラジコン/壊したアンテナ

ラジコン/壊したアンテナ

様々な人間の思惑
力を持つ少数の人間の企みが

電波のように飛び交うこの世界で
一人素直にアンテナを張ってみても

ほら今ここに何故いるかも説明できない哀
れなラジコン

「素直で物分りがいいね」なんて操縦者に褒められたところで

ほら次に右足を出すか左足を出すかすら
自分で決めれない哀れなラジコン

それぞれの操縦者が出す真逆の命令や

腹の中で腸のように絡まる矛盾

スマホの中で生気のない情報が

僕の思考回路は容量を超える

バグを起こした僕は
馬鹿みたいに真っ直ぐ立っていたアンテナを折った

それを見て怒った顔をする人もいれば
呆れた顔をする人も...
でも一番驚いたのは
そんな俺に笑ってhugしてくれる人がいたこと

ゴトンという低い音と共に入ったswitch

前のオーナーが言う「昔のお前の方が良かった」

「あっそう。それなら良かった」自分の口からでた返事に耳を疑った

「良い奴なんてたいてい都合の良い奴だろ」

唇はいつもより軽く そう吐き捨てた後 笑ってhugしてくれた人を探して海を見に行った

何故なら今俺がこの人と海が見たいから

二人で手を繋いで海を眺めながらゆっくりと浜辺を歩いた

時々空を見上げては誰かに操作されていないことを確認しながら...


自由詩 ラジコン/壊したアンテナ Copyright  2017-07-09 21:04:54
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