names
完備

それだけが見える
ということが、あるのか
かつて、私であった人の
私へ曳かれる眼差しと
交わる、畸形の花
びらに似た、包装紙
いちぶ尖ったアルミ缶
ゴミやゴミが裏返り、
「眠るように」という
直喩のうちに、「眠る」私へ
伸ばされる
かれの身体が裏返り、
まぼろしを
告ぐるはやさしい同型射。
畸形の花々のうちに
ふつうの、雑草のにおいを覚え
私はここで息絶えていい
かつて、それだけが見える
という、「それ」を、
呼ぶためにあった名前よ
いまここで、お前が
意味するまぼろしを見せてくれ


自由詩 names Copyright 完備 2017-07-09 18:37:03
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