coarser
完備
かれからの手紙のなか
砂埃のむこうを
夥しい自動車が過ぎて行った
何番目に僕がいたでしょうか
と、かれが問う
直前の
ぐちゃぐちゃと潰された誤字を
読むことはできなかったが
わたしたち、と言えば
規定される範囲が
まだ、あるなら
わたしたちの心象風景は
細部を失っていく
かれもわたしも、きみを、きみと呼ぶ
きみは、ローソンが
固有名詞だと言い張った
この町の大体はローソンの窓に映る
とも、言った
かれからの手紙のなか
砂埃のむこうを過ぎて行く
夥しい自動車、それらが
本当に自動車か
わたしはときどき、判別できない
自由詩
coarser
Copyright
完備
2017-07-17 19:56:03