辻井伸行の熱情
吉岡ペペロ

辻井伸行の熱情には苦しみや孤愁がない

苦しみや孤独にとらわれようと

肉体は瞬時に生成滅滅している

ベートーベンが言うところの歓喜へと至る動機

辻井伸行の熱情が教えてくれている

ベートーベン最後の短調で終わる作品、熱情が語りかけてくる



だが目の前のピアニストはどうだろう

妄想だ

肉体を忘れた妄想だ

音は残響を残し消え去るのに

苦しみや孤愁にとらわれたままだ

歓喜へと至る動機がひと欠片もない

このピアニストの演奏を聴きながら

辻井伸行の熱情をこころに思い出していた


辻井伸行の熱情には苦しみや孤愁がない

苦しみや孤独にとらわれようと

肉体は瞬時に生成滅滅している

ベートーベンが言うところの歓喜へと至る動機

辻井伸行の熱情が教えてくれている

ベートーベン最後の短調で終わる作品、熱情が語りかけてくる






自由詩 辻井伸行の熱情 Copyright 吉岡ペペロ 2017-07-04 22:33:15
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