遠い日の透かし雨
かんな



十代の恋は幼く
大人びた香りがした
あの夏の日暮れの
夜が落ちてくる手前の街を
指を絡めて歩いた
あなたの指は
ほそくしっとりとして
引かれるまま道を歩く
足取りはひどくゆっくりで
予報通りの小雨がぱらつくと
大きな黒い傘に
あなたとわたしが収まり
ひとあし早い夜が来た
幼い恋が雨を呼ぶ
見透かされたおもいが
ふたりの足元で水たまる
あの日のあの雨の
滴るしずくを一滴だけ
珈琲に入れて飲む
わたしがひとり




自由詩 遠い日の透かし雨 Copyright かんな 2017-06-16 23:22:22
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