虹のあっち
水戸 うしん

夕暮の路 小石を蹴り
空に小言。


きれいじゃない

靴を見て歩く。
前はみない。

どこからか聞こえる
各々の箱型から かほる灯と火。
夕げの支度

カチャカチャ、ジャー、



遊んでいるのだろう
兄弟の笑い声。


靴を見て歩く女のコ、
寂しいかい
寂しいかい
まだ8歳だもんね、ひそひそ、



女のコはいつもの事よ、
無表情な色。

ただいま、


おかえり、
ヒトリゴト。

誰もいないのにね。
暗い家に灯火。

女のコは準備をする
白いビーズを洗い、水を煮る。
草を切ったり
辛子色を切ったり。

これが出来ていないと魔女はたちまち
不機嫌になり無言ノ罰を与える

準備したそれらを身に運ぶのは子供が寝る時間。
いつもの事よ。


木製の枠から流れる声と声。点滅光。
独り聞き観るのもいつも通り。


誰か知ってください
女の子の寂しさ、
心細さ、
心が、泣く不安、なの、

見えないモノへの恐怖。



青い、タバコの匂いが染みついた
独りじゃ温まらない部屋で待つの。
黒いの白いのと一緒に。

女の子の空想の中
ぱすてるな色。

夜の森にぱすてる
そこで生きているの。

何だって出来るの
空も飛べる
イルカと泳ぐ
蝶々を肩に。

銀河にも行ったの。

きらきら、眩しい、素敵。
ふわり、ふわ、っと。無重力

御姫さまに。王子さま。
ぱすてるドレスをひらり、ヒラッ、ふふ。


その中で女の子は女性になった。


画面とニラめっこで、勤め人
おつかれ様、わたし、ヒトリゴト。


虹を掛けて
向こうへいこう
きらきら、眩しい、素敵なトコ

白玉を20コ
赤玉を10コ
青玉を20コ
杏玉を20コ
これが切符

これで足りるかしら?
これで虹の向こうへ行ける?

今生は少し精算したつもり

酸素の薄い場所にいるみたい
標高なんめーとる?
苦しいな、苦しいな

素敵なトコへ行くには
苦しさを素通りできなくて
そこを越えたなら
行ける場所。簡単。

がまんできる、
辛抱できる、
きっとずっと耐えられる、


女性の中の女の子
まだ生きていたの。


自由詩 虹のあっち Copyright 水戸 うしん 2017-06-02 23:04:38
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