流線
春日線香

長いこと逆さまに埋められていたので
いまだに上下感覚がおかしいのです
と笑いながら帰っていった人のあとで
ぼうっと灯る明かりのようなものを吹き消して
庭に出て晴れた空を眺める
空が地面で地面が空とは
自分にはなかなか想像がつかないことで
会話の余韻が胸のうちを流れて
風にそよがせていた洗濯物が
わたしたちの吊られている様を見てくれと
自慢げに言っているような気もして
なんだか鼻白むような
切ないような気持ちがしてきて
ふうっと吐いた息が
ひととき青く煙って消えた


自由詩 流線 Copyright 春日線香 2017-04-25 18:42:50
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