法則のススメ
末松 努

ぼくには
現代が苦しかった
皆は
楽しそうにしているのに

ついて行けない自分が
ますます暗くなっていった

もちろん
明かりはLEDに変えたし
エンタメ情報は簡単に手に入る
ネットには面白いことが溢れ
周りを見渡せば
足りないものがないほどだ
なのに
完全に不足している

この息苦しさの中
八割方
欲しいものは手に入れた
狭いワンルームで
二割引の弁当を食べて過ごす
何も悪くない
ただ
吐く息が臭いだけで
悪くない

だから
良くない

本当に欲しいのは
捨てた二割の方で
食べてしまった八割は不要だ
リチャードもコッチだと
アマゾンで叫んでいるが
法則が
沈黙しているのをいいことに
ぼくは
知らない振りをして眠りにつく

無宗教だと思っていたが
法話を聞いたら
何かわかるかもしれないと
夢に諭される

起きたら
近くの寺に行ってみよう
きっと
アマゾンのリチャードも
コッチコッチと
微笑んでいるだろう


自由詩 法則のススメ Copyright 末松 努 2017-04-16 06:41:14
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