男の子のまま
秋也

僕は砂場に丸を書く
僕は砂場に丸を画く
僕は雨の日砂場で丸をなぞる
指でなぞる丸
僕は僕の指で丸を書く今日
僕は僕の指で丸を画くだろう明日
僕は僕の指で丸をなぞった昨日
丸を新しく砂場につける
誰かが作った砂の城の周りを丸で大きく囲う
何にも可笑しくないんだ
だっても誰も笑わないから
ある意味すごく真面目な話だし
砂場で丸を
人差し指で
少し深いところにある土に近い色の砂
爪に喰い込ませ
丸をつける
丸をいくつも重ね
暑くじりじりした晴れの日も
それは疲れたら木製のベンチで休むこともあるけれど
丸を重ね重ね
丸を大きく
丸を小さく
書く指で
隣で一緒に笑顔で興じた母なる人はもういないけれど
丸をつけなきゃ
砂場に丸を書かなきゃ
指で綺麗な丸を画かなきゃ
僕が男の子をやめない証拠
丸を書き始めては閉じ続けなきゃ
砂に丸を納めなければ
白とは言えない砂地に
土とは言えないやや冷えている部分の砂を丸く掘って
丸く浮かび上がらせないと
人差し指が落ち着かない
「あ、いい感じの木の枝」
棒とは言えず
僕はこれで何をするんだろうか
枝を拾って砂場で
さあ書こう。


自由詩 男の子のまま Copyright 秋也 2017-04-04 19:08:34
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