ポエトリーセカンドインパクトジャパン
自縛ポエトリー/うい

エヴァンゲリオンが好きだと言う女が嫌いだ

私には大好きな本屋があった。
本屋は薄暗く、カビ臭かった。
夏は暑く、冬は寒かった

私の半径3kmの行動範囲の少し端にあった。

父親の機嫌が悪い時 母親が泣いて居る時
私は本を買いに行くと言って家を出た
本屋はいつでもそこにあった

私はエヴァンゲリオンが好きと言う女が嫌いだ
エヴァンゲリオンはけして嫌いじゃない
エヴァンゲリオンが好きと言う女が嫌いだ

私の半径3kmの行動範囲が少しばかり広がった頃
本屋はなくなった
本屋の跡地にはおしゃれなカフェができた
おしゃれなカフェの中では中途半端に着飾った女で溢れていた

1人で入った私の行動範囲は30cmに押さえつけられてしまった
周りの視線が怖い
アイデンティティもアイデンティファイどちらも何かに依存しなければ形成できないのに

BGMがジャズアレンジの残酷な天使のテーゼになった
ひときわ甲高い声が聞こえる

「ワタシ エヴァ スキナンダ」

ああ
あああうぉいいぅあああ

思い出す恋人を見送った駅の帰り道優しい精神科の先生
怖い顔してキャラメルの匂いがする君のため息

街はいつまでも綺麗だ
人はいつまでもはあり続けられない
だからモノを作る
作り続ける
血肉を削り削岩機で骨を砕きにグチャグチャの汚物を提示する
それは
私の中に存在し続ける
君の中にも存在される
許されざるものたちがモノを作ることが唯一の救いのものたちが自分の物差しが間違いだとしても
作るんだ
そんな血肉の塊を簡単に好きだとか言うな
受け入れることも出来ないくせに簡単に好きだとか言うな
お前はその骨と汚物の塊を愛おしく抱きしめられるのか?
全て委ねられるのか
言葉で からだで 愛撫できるのか?

大丈夫 それはとても気持ちのいい事だから
大丈夫それはとても気持ちのいい事だから だいじょうぶそれはとても  とても とても   とても とても とても
その血と骨と汚物と汗と涙とちょっぴりの希望が混ざったそれを

どうぞ抱きしめて愛しておあげよ

こわいなんてあるものか。それはとても気持ちのいい事だから  美しさなんか求めるからいけないんだ感情は伴わなくても素晴らしいじゃないか絡めた指先から世界を見渡すんだかっこ良くなんかなくてもいんだひたすらに詭弁を吐き続けろエゴを押し通せ真実や余白なんかが入り込む余裕が出来ない位に作るんだ 私だけの世界を作るんだ 君と私だけの世界を早くしないと世界がおしゃれに満ち溢れてしまうそうなったらもうおしまいだ 世界がおしゃれにみちる前に私だけの安住の地を作るんだ世界をおしゃれに奪われるまえに心から 自分が良いと思ったものだけで埋め尽くされた世界を作るんだ満ち足りているに決まっているに決まってる美しい世界を余白や現実に奪われる前に作らなきゃいけない
例えば君の切り過ぎた前髪を安心して愛せる場所を作るんだ
そのためにすることは一つ
心から世界を、愛することだ

ヘイトより醜いラブを!
ぶつけるんだ。ぶっ壊してやる。ぶっ壊してぶっ壊して

愛するんだ。

かっこ良くなんかなくてもいいんだひたすらに詭弁を吐き続けろエゴを押し通せ真実や余白なんかが入り込む余裕が出来ない位に

愛おしく抱きしめられるさ
私はその骨も汚物も赤血球も内臓も抱きしめられるさ
大声で 叫べ

愛してるよ

その時はどうぞ彼によろしく
その時はどうぞ満面の笑顔で

美しい憎しみに満ちて

赤い海に浮かぶ君と私をみて神様は言うんだ

おめでとう

夜が来ても、もうちょっとだけ二人で遊ぼうか


自由詩 ポエトリーセカンドインパクトジャパン Copyright 自縛ポエトリー/うい 2017-03-24 02:18:20
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