かたち かたち
木立 悟





表にも裏にも
鏡のついた手鏡を
ふたつの指で廻しながら
光ははじまりと終わりを行き来している


横の波が
縦に重なり窓を覆う
外の冬を隠すように
布の鳥の羽音が積もる


影の靴音が
水の上をゆく
流線形の視線の先に
歪みと揺らぎを捉えながら


蝋のなかの光が燃え
融け落ちてはまた燃え上がり
火のかたちの蝋に紛れ
激しく光へ帰ってゆく


山のむこうの山が動き
荒ぶるものらを連れ去るとき
川辺には光を持つ指が並び
川の上に川を浮かばせつづける


無数の花のあつまりが
冬の霧となりまたたいて
踊り 唱い 遠去かり
陽につづく径を濡らしてゆく























自由詩 かたち かたち Copyright 木立 悟 2017-03-21 08:24:48
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