白加賀
しずる

私は梅の花を見ていた
白加賀に思いをのせて
昨年は夫と共に
梅見に来ていたことを
思い出していた

一年たった白加賀は
相も変わらず淡く芳香し
その香りを胸に吸い込みながら
一人ため息をつく
寂しさなんてこの梅の美しさに比べたら

一面の梅畑の中で
白に埋もれて
私の存在が風景に溶けていき
さわりと風がふいて
白加賀の香りだけが残った

2017/3/5


自由詩 白加賀 Copyright しずる 2017-03-05 20:40:26
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