迷子の後で
梓ゆい

父の手の中に
半分に割った焼きたてのさつまいも。

口に入れて噛み砕けば
優しい甘みが空腹のお腹と
迷子で泣きつかれた心を
しっかりと抱きしめる。

ほくほくのさつまいもは
口の中でほぐれると
父の優しさと共に
身体の中へ降り積もるのだろう。

家へと帰る親子連れを眺めた
ショッピングモールの入り口
しっかりと繫がれた手は
もう二度と離れない。


自由詩 迷子の後で Copyright 梓ゆい 2017-02-24 05:53:32
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