夢のあと
梓ゆい

最後に流した涙のような
光る透明のしずく。
掌で弾けとび
残した思い出を身体の中へと埋め込んでいった。

真横を見れば
綺麗に咲くあなたの愛した花。
春一番に吹かれても
しっかりと花びらを護り通している。

最後に一言だけ声が聞きたかった。
抱きしめられた温もりを感じていたかった。

あなたの肉体を土に返した後
私は一人で泣くのでしょうか?

もうすぐ日が沈む西の空では
あなたの肉体を焼いた炎より紅い夕日が
私の顔を照らしている。

あなたが死んでも生きていた証は
残り続けると信じたい。
あなたの事を書いた詩が
私の口から声となって放たれる限り。



自由詩 夢のあと Copyright 梓ゆい 2017-02-19 01:42:12
notebook Home 戻る